2018年10月23日、岡山電気軌道東山車庫に新型車両「1080形(仮称)」1081編成が搬入された。その車両というのが、まさかの車両だった。
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車両イメージ図(岡山電気軌道公式サイトより)

実際の車両については上記のURL(両備グループ「駅長たま」公式Twitter)を確認していただくとわかる通り、アニメ「チャギントン」のキャラクター(鉄道車両モチーフなのだが)そのまんまである。ちなみに、デザイナーは水戸岡鋭治(岡山電気軌道・和歌山電鐵・JR九州など各社の車両デザインを手がけている)、製造は「ボンバルディア・トランスポーテーション」、組み立ては「新潟トランシス」となっている。

完全新造の「痛電車」は日本の鉄道史上初。

そもそも「痛電車」とは、アニメ・マンガなどに登場するキャラクターを車体にラッピングしたり鉄道系アニメのキャラクターを実際の鉄道車両で再現したものを指して使われるものであり、一般的にはその作品の提供会社や配給会社による広告ラッピング電車やタイアップ企画の一種とされていることが多い。
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従来の「痛電車」というと、上記の画像のように「元からある車両にラッピングする、リニューアルをテーマに改造する」というやり方で作られており、よりキャラクターらしい仕様となっているのは大井川鐵道保有のC11 227とC62 44で行なっている「きかんしゃトーマス」くらいである。そんな中で突如として現れた「完全新造のキャラクター再現電車」その活躍に期待したい。

公式ウェブサイト:https://okaden-chuggington.com/

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阪急電鉄1000系「宝夢」:阪急宝塚線沿線ゆかりの漫画家「手塚治」さんの漫画作品のキャラクターを配した沿線観光地の紹介車両として2015年11月から2年間限定運行された。2018年からは宝塚歌劇の名作「ベルサイユのばら」原作者の「池田理代子」さんによりデザインされたラッピング車両が「宝夢」として運行している。

鹿島臨海鉄道6000形「ガールズ&パンツァー」:2012年に放映されたアニメ「ガールズ&パンツァー」で沿線自治体が舞台となっていることから、同年より運行されているラッピング車両である。コンテンツツーリズムの一つである「聖地(アニメ・漫画作品の舞台となった地域や建築物のこと)巡礼」の一つとして毎年多くの利用者(観光客・地元利用者・大洗港発着のフェリー利用客なども)を集めている。

和歌山電鐵2270系「たま電車」:鉄道車両のリニューアルのコンセプトとして2009年に導入された車両で、車両内外に101匹の「たま駅長」が描かれている。たま駅長は日本の鉄道史上初となる「鉄道事業者から正式任命された猫の駅長」であり、現在も和歌山電鐵では「猫の駅長」が2駅(貴志駅の「ニタマ(たま2世)」、伊太祈曽駅の「よんたま」)に配置されている。これがきっかけとなり日本中の駅(廃駅含む)で動物の名誉駅長や駅員が任命、駅猫(駅に住み着いた野良猫)が注目されるようになった。

静岡鉄道1000系「ちびまる子ちゃん」:静岡県清水市(現在の静岡市清水区)を舞台とする長寿アニメ「ちびまる子ちゃん」のキャラクターをデザインしたラッピング電車。ラッピングに使われている車両はまさかの「静岡鉄道史上最も多くのラッピングを経験した車両」として鉄道ファンからも注目が集まっている。

JR四国8000系「アンパンマン列車」:高知県ゆかりの絵本作家「やなせたかし」さんの代表作「アンパンマン」をモチーフにラッピング車両・改造された車両。8000系「しおかぜ・いしづち」のみならず、「南風・宇和海(2000系)」、「剣山(キハ185系)」でも運用されている。


【解説:痛電車】
アニメや漫画のキャラクターやそれらの作品群をイメージしたロゴなどの塗装・ステッカーなどを用いて装飾された自動車をさして使用される俗称「痛車」と鉄道車両の一般的な名称の一つである「電車」を組み合わせた造語のこと。多くは広告(作品を展開している側が広告主となっていることが多い)、地域振興(ご当地キャラクターや作品の「聖地」となっているケースでみられる)、イベントキャンペーン(鉄道事業者とのコラボレーション企画)で行われることが多く、公共交通機関である鉄道のいわゆる「痛電車」は『痛車』本来の語源である『見ていて痛々しい』とはかけ離れたものだといえる。